子供とキャッチボールがしたい!という親御さんは多いです。
子供が大きくなったら、地元の学童軟式野球チームに入れてあげたいと考えている人も少なくありません。
学童軟式野球には、特有のルールがあることをご存じですか?
高校野球やプロ野球と違い、軟式のボールを使うことだけでは無いのです。
学童軟式野球特有のルールには何がある?
学童軟式野球には、大人の野球と違う点がいくつかあります。
基本的なルールは野球協会の公式ルール規則ブックに載っていますが、ほとんどは大人と同じルールが適用されます。
学童軟式野球に関しては、主に3つの違いがあるのです。
- グラウンド規格
- 勝敗の決め方
- 投球回数制限
どんな違いがあるか確認していきましょう。
規格
まずは規格です。
規格とは、グラウンドの広さや塁間の距離などのコトです。
- マウンド~ホームベース⇒学童野球低学年14m/学童野球高学年16m/プロ野球など18.44m
- 塁間⇒学童野球低学年21m/学童野球高学年23m/プロ野球など27.431m
- 両翼(ホームベースからレフト方向とライト方向への距離)⇒70m
- 中堅(ホームベースからマウンドを通ったセンターライン)⇒85m
- ネクストバッターズサークルの直系⇒1.3m
この他にも、スリーフットラインの開始なども異なります。
勝敗の決め方
プロ野球と違い、最大でも7回までしかできません。延長15回は存在しません。
ルールブック上、1時間30分を超えた試合は特別ルールが適用されて勝敗が決まります。
トーナメント形式の大会や総当たりのリーグ戦などでもルールの適用が異なりますが、基本的には7回&1時間30分で勝敗が決まるということを覚えておきましょう。
コールドゲームは大会のルールによって、点差が異なります。
1日で消化する試合数などの兼ね合いで、コールドゲームの点差が決まる場合もあるんです。
7回終了時に同点だった場合、大会のルールによって対応が違います。
ナイン全員のくじ引きやじゃんけんで勝敗を決する場合も多いです。
ノーアウト満塁から延長8回を行なう方法もあります。
投球回数制限
投球回数制限と聞くと、メジャーリーグやWBCのルールかと思われがちですが、学童軟式野球にも適用されています。
このルール自体は、比較的新しいルールです。
学童野球の選手は、まだ体の出来上がっていない少年少女です。
そのため、怪我の予防を理由に、1人のピッチャーで投げられる回数や球数が厳しくチェックされているのです。
基本的には7回の連投は禁止です。
1日に何回までOKと厳しく決まっているケースもあります。
ただし、注意したいのは、投球回数制限が設けられているのは公式の大会のみという点です。
チーム同士の強化試合などの場合、時間をおいて連投させるケースもありますが、個人的にはあまりオススメできません。
チームを運営する立場としては、3人~5人のリリーフピッチャーの育成は楽しく野球するためには重要だと考えています。
プロ野球や大人の野球と何が違う?
なぜ学童軟式野球のルールはプロ野球のルールと違うのでしょうか?
それは2つの大きな理由があったのです。
- 怪我の防止
- 体力的な問題
詳しく解説します。
怪我の防止
軟式でも公式でも、野球ではプレーに危険が伴います。
バッターボックスに立てば、デッドボールが顔や手に当たり、打撲などの症状を起こします。
守備の時にも、強い打球や捕球の仕方で突き指をする可能性もゼロではありません。
最も酷使されてしまうのは「ピッチャー」です。
特に注意しなくてはいけないのが「肘」と「肩」です。
野球肘や野球肩という言葉を知っていますか?
ボールの投げすぎで、関節部分に野球特有の痛みや症状が出るスポーツ障害です。
特に、野球肘は症状が悪化しやすく、まれに肘部分から骨が見えてしまう場合もあるのです。
野球の投球ほど、体の同じ部分に負担がかかるスポーツはありません。
これらの負担に加え、成長期の少年少女の関節には大人よりも柔らかい「成長軟骨」があります。
成長軟骨が、投球動作による負担増によって障害を起こしてしまうのです。
野球肘の発生率は、日本全国の野球少年・少女たちの実に20%に及びます。
痛みがどんどん悪化すると、肘部分から上腕筋の骨が露出したり、成長軟骨が剥離したりして手術が必要となる場合もあります。
だからこそ、投球回数制限や規格がプロ野球よりも短くなっているのです。
体力的な問題
大人の体力と子供の体力は全く違います。
ピッチャーのマウンドが低学年と大人で4.4mも差があるのは、こうした体力の違いが原因です。
大人規格で学童軟式野球をやるのは、中学生になってからです。
ある程度、体作りができている状態になって、ようやく大人規格でのプレーができます。
学童軟式野球はルールを守って楽しんでもらうことが目的
学童軟式野球はルールを守って楽しむことが目的です。
スパルタな練習や、ルール度外視の野球は子供の楽しいという感情をネガティブなものに変えてしまいます。
学童軟式野球のルールをきちんと理解して、子供たちに野球の楽しさを伝えるのが、学童軟式野球の指導者の役割であり責務なのです。