塁審を頼まれたらどうする?野球審判の基本的なやり方を解説します

ルール / 用語

「塁審をやってほしいんだけど…」

そうお願いされたことがある方も多いのではないでしょうか。
野球経験のある方で、選手時代に塁審を経験したことがある方はきっと多いはず。また、子どもの野球に携わっていると、練習試合の際に塁審をお願いされることもあります。

塁審と言うと、アウトやセーフ、フェアやファウルなどを判定する人というイメージがあるかもしれませんが、それ以外の判定が必要なケースも出てきます。

練習試合では各塁でのアウト/セーフや、ライン際のフェア/ファウルの判定を行えば問題ないケースがほとんどですが、イレギュラーなプレイが起こった場合に、判定に困ってしまうケースが出てくるかもしれません。

塁審と言っても、1塁~3塁で起こるプレイの頻度や内容は異なります。
基本的な立ち位置、コールやジャッジの方法なども含め、困らないようにするための最低限のポイントを押さえておくと安心です。

今回は、塁審をお願いされた時に役に立つ「審判の基本的なやり方」をご紹介していきます。審判目線から見た、ちょっとしたコツもご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

なお、今回ご紹介する内容は基本的な事項から、さらに厳選したものとなります。
また、マニュアルによっては、今回ご紹介している内容と異なった内容や数値を紹介している場合もあります。この記事では、塁審の大まかな動きや役割をイメージしていただけたら嬉しいです。

野球審判のやり方(準備編):塁審に必要な道具

「塁審に必要な道具ってあるの?」と思っている方も多いはず。
球審の場合は、ファウルチップなどがぶつかりやすい場所に位置するため、キャッチャーと同様にマスクやプロテクターを装着しなければなりません。

球審とキャッチャーが同じようなポジションに位置していると考えた場合、1塁~3塁の塁審はキャッチャーを除く内野手、あるいは外野手と同じようなポジションに位置するイメージになるかと思います。
もちろん、内野手や外野手はマスクやプロテクターは着用していませんし、守備側の選手に必要なグローブも、塁審は持つ必要がありません。

つまり、極端な話をすれば、塁審は自分の体さえあれば手ぶらでも務まることになります。
もちろん、服装や帽子、靴などの着用において、選手と混同しないようにする、あるいはボールが見えづらいものを避ける、審判に適した格好にする(半ズボンを避ける)などの配慮は必要かもしれません。
ただ、実際に練習試合で塁審をお願いされた場合に持つ道具について、「これがないと困る!」というものが、あまり思い浮かばないかもしれません。

とは言え、プロやアマチュアの審判員が塁審を務める際に手ぶらということはありません。
ここからは、プロやアマチュアの審判員が実際に持っている道具のなかから、判定を行う上であると便利なものや役に立つものを厳選してご紹介していきます。

インジケーター

「球審編」でも必須の道具としてご紹介しましたが、塁審もインジケーター持っていると便利です。
インジケーターは、ストライクやボール、アウトカウントなどを手元で確認できる道具。盗塁の際の判定やインフィールドフライの宣告など、カウントによって判定が必要ない場合や、適用が変わってくるケースが塁審にもあります。

例えば、ランナー1塁でカウント3ボールから盗塁が企てられた場合。
投球がボールの場合はフォアボールとなって、1塁ランナーは2塁まで安全に進塁することができます。
ところが、フォアボールにも関わらずキャッチャーが2塁へ送球し、それにつられて2塁塁審がアウト/セーフのジャッジをしてしまう…なんてことがあります。

あるいは、ランナー1塁で2アウト2ストライクから盗塁が企てられた場合。
この投球をバッターが空振りor見逃し三振した場合は、キャッチャーが正規に捕球した時点で3アウトチェンジとなります。
ところが、盗塁の動きにつられて、三振にも関わらずキャッチャーが2塁へ送球し、2塁塁審がアウト/セーフのジャッジをしてしまう…なんてことがあります。

こうした「場合分け」のようなプレイが発生する場合には、投球前にカウントを確認しておくことで情報が整理しやすくなります。

また、プロ野球でも時折起こりますが、審判員もベンチも選手もカウントの間違いに気づかずに、そのままプレイが続行されるなんてことがあります。
その場合に、審判員の誰かがカウントの間違いに気づいて、適切に助言をすることも重要です。

球審がカウントを忘れてしまった場合に、塁審に自ら助言を求めることもあります。
その際にスムーズに答えられるようにすると、試合の進行もスムーズになります。
手元のインジケーターで常にカウントしておくことで、自身の判定にも、試合全体の進行にも役立つ場面があります。

ちなみに、アウトコールなどの際に右手をグーにする必要があるため、インジケーターは左手で持ちます。
セーフやファウルなど左手をパーにする必要がある場合は、親指と人差し指でインジケーターを固定して中指~小指をピーンと伸ばします。
フェアの際は、人差し指だけをピーンと伸ばしてその他の指でインジケーターを握ってみてください。

なお、プレイが続いている(タイムがかかっていない)間は、審判員はボールから目を離してはいけません。
インジケーターを確認するときに目を切ってしまい、とっさのプレイが見えない、判定ができないなんてこともあります。
ボールデッド中に見る、あるいは下を向かないようにプレイが見える高さでカウントを確認するなどの工夫をしてみてください。

ちなみに、インジケーターの種類にもよりますが、指で回す部分に溝が入っていたり、全てのダイヤルが5でリセットされるようにできていたりと、目で見なくても動かせるような工夫がなされている商品もあります。
目で見なくても指の感触だけでリセットでき、そこから正しくカウントすることができる審判員もいます。

慣れが必要かと思いますが、「ボールから目を切らない」ことを意識して、インジケーターを活用してみてください。

ハケ

球審と同様にハケ(ブラシ)を準備して、自分の担当する塁のベースを常にきれいにすることも大切なポイントの一つ。
塁審は各塁でのアウト/セーフ、フェア/ファウルの判定を行わなければなりません。

その際に「ベースをちゃんと踏んでいるか」「ベースの到達とどちらが早いか」「打球がベース上を通過しているかどうか」などを見極めなければならないことがあります。
ベースが土で隠れている(特にランナーのスライディング後など)と判定に支障をきたすことがあるため、ハケを使って常にベースをきれいにすることを心がけましょう。

練習試合で審判相互のカバーリング(フォーメーション)を実践することはないかもしれませんが、ホームランの場合などに、球審が3塁へカバーリング→1塁塁審がホームへカバーリングする際は、バッターランナーがホームを踏んだ後に、1塁塁審がホームベースをハケできれいにすることもあります。

また、ピッチャースプレート(投手板)をきれいにすることも重要です。
これは、ピッチャーが「正しくプレートを踏んでいるか」「正しくプレートを外しているか」などを確認しやすくために必要なことで、それによってボークの判定につながったりすることもあります。

また、プレートを踏んでいるかどうかでピッチャー扱いになるのか、野手扱いになるのかが変わり、それによってルールの適用が異なる場合もあります。
各塁のベースと同様に、ピッチャースプレートをきれいにすることも心がけてみてください。

ところで、「ピッチャースプレートは、どの審判がきれいにするの?」と思った方はいないでしょうか。
各塁とは異なって、どの審判員の立ち位置からも同じような距離にあるため、誰がきれいにするのか、どのタイミングできれいにするのか分からないなんて疑問が生まれてくるかもしれません。

実はこれにも決まりのようなものがあります。
基本的には攻守交替のタイミング(※試合開始前のみ、投球練習→キャッチャーの送球が終わったタイミング)で行い、1塁または3塁いずれかで、守備を終えて戻ってきた/これから攻撃を行うベンチ側の塁審(※試合開始前は攻撃側のベンチがある塁審)がピッチャースプレートをきれいにします。

これから守備につく側にいる塁審は、ベンチのほうへ向かい、選手がスピーディーにポジションへつけるような声がけを行うのが一般的です。
実際の試合を見ても、そのような役割分担で動いていること分かると思います。

なお、2塁塁審がピッチャースプレートをきれいにするケースもないわけではありません。
2塁塁審はランナーがいる場合に内野内に位置するケースがあります。
この状態で3アウトチェンジになった場合は、最も近い位置にいる2塁塁審がピッチャースプレートをきれいにする役割を担うこともあります。

「絶対にこうしなければならない」というルールがあるわけではなく、「私がやるからいいよ」「ごめん任せた」といったような塁審間の意思疎通によって役割を担う塁審が変わっています。

ちなみに、ハケの収納方法についてはいくつかのパターンがあり、ハケを収納するための専用ケース(ベルトに通して使うタイプ)のほか、お尻や胸のポケットに収納する塁審も多いです。

ここまでにご紹介したインジケーターとハケは、塁審をする上で持っておくと便利な道具の2トップです。
しかし、プロやアマチュアの審判員は、得点やタイムカウントをメモするための用紙やペンなど、上記以外の道具を持って試合に臨むケースもあります。
また、例えばピッチャーの「〇秒ルール」計測のために、2塁塁審がインジケーターではなくストップウォッチを持つこともあります。

野球審判のやり方(実践編①):各塁審の立ち位置

塁審が判定を担う範囲

「塁審って何をするの?」と聞かれた時には、大きく以下のようなものをイメージする方が多いと思います。

<1塁塁審>

  • 1塁ベース上でのアウト/セーフの判定(おもにフォースプレイ)
  • 1塁ベース付近でのアウト/セーフの判定(タッグプレイ)
  • 1塁側ライン際のフェアまたはホームラン/ファウルの判定
  • 右バッターのハーフスイングの判定(スイング/ノースイング)※球審からリクエストされた場合
  • 1・2塁線上でのランダウンプレイにおける判定(タッグプレイ)

<2塁塁審>

  • 2塁ベース上でのアウト/セーフの判定(タッグプレイ/フォースプレイ)
  • 2塁ベース付近でのアウト/セーフの判定(タッグプレイ)
  • 1・2塁線上および2・3塁線上でのランダウンプレイにおける判定(タッグプレイ)

<3塁塁審>

  • 3塁ベース上でのアウト/セーフの判定(タッグプレイ/フォースプレイ)
  • 3塁ベース付近でのアウト/セーフの判定(タッグプレイ)
  • 3塁側ライン際のフェアまたはホームラン/ファウルの判定
  • 左バッターのハーフスイングの判定(スイング/ノースイング)※球審からリクエストされた場合
  • 2・3塁線上でのランダウンプレイにおける判定(タッグプレイ)

しかし、各塁の塁審は上記で挙げたような「アウト」「セーフ」、ライン際の「フェア」「ファール」、バッターの「スイング」「ノースイング」だけを判定しているわけではありません。

例えば、地面すれすれの打球やフェンス際の打球などは、ノーバウンドキャッチなのか、ワンバウンドキャッチなのか分からないというケースも出てきます。
そうした判定を含め、外野のライナーやフライについては、塁審が打球を追いかけて判定を行うという役割もあります。

4人制でノーランナーの場合は、以下のような範囲で外野フライに対して責任を負うことになります。

  • ①塁塁審…ライトの守備位置~1塁側のライン際
  • ②塁塁審…レフトの守備位置~ライトの守備位置
  • ③塁塁審…レフトの守備位置~3塁側のライン際

打球を追いかけるとベースを空ける(ベースから離れる)ことになるため、他の塁審がカバーリングを行うフォーメーションというものが存在します。
しかし、フォーメーションはいくつものパターンがあり、それらを全て頭に入れて動くことは簡単ではありません。

まして、自分だけが覚えていればいいわけではなく、各塁審がフォーメーションを頭に入れていないとカバーリングできません。
そのため、練習試合などでは基本的に自分の塁や塁周辺の判定のみ責任を負うようなイメージで問題ありません。

1点だけ意識してほしいことは、むやみやたらにアウト/セーフ、フェア/ファウルの判定を行わないことです。

特に、ライン際の内野ゴロに対してフェア/ファウルのシグナルを出してしまう塁審がいますが、ベース前の判定については基本的に球審がフェア/ファウルの判定を行います。
塁審はベースを通過した打球のフェア/ファウルの判定のみを行います。

ただし、打球によっては球審がベース前の打球を正確に判定できないことがあります。
塁審も鋭い打球を避けるので精一杯となり、判定ができないことがあるかもしれません。そうした時にサポートしてあげることも念頭に置くといいかもしれません。

打球に対する範囲を確認しておくことで、2人の審判が異なる判定をしてしまう(球審はフェア、塁審はファウルといった、いわゆるダブルジャッジ)といったことを未然に防ぐことができます。
結果的に2人の審判員が同じ判定だったとしても、1つの打球や1つのプレイに対して2人が同時に判定をすることはNGです。

※ダブルジャッジの規則適用方法はこちらの記事で紹介しています

また、内野のライナーやフライについても、基本的には球審がキャッチ/ノーキャッチの判定を行います。
ただし、各塁の塁審に近い打球の場合は、塁審が判定を行う場合もあります。こうした場合もアイコンタクトを取って、誰が判定するのかを明確にしてからジャッジすることが大切です。

各塁審の基本的な立ち位置:1・3塁塁審

①塁と③塁の塁審はファーストまたはサードの守備位置から3~4mほど後方を目安にファウルラインの外側に立ちます。
以前はファウルラインをまたぐ形で立っていましたが、現在はラインの外側に沿って足を置くようになりました。
これによって、ライン際の打球が避けやすくなり、仮にノーバウンドの打球が塁審に当たったとしても、ファウルボールであることが明らかになります。

なお、ライン際のフェア/ファウルの判定に支障が出ないように、ラインから離れ過ぎないようにしましょう。
また、ファーストまたはサードが前進守備をした場合、そこから3~4mほど後方の位置ではベース付近を横切る打球などの判定が十分に行えない場合があります。
その場合は、ベースから5~6mほど後方に立つことを意識して、それ以上前に出ないように心がけてみてください。

また、1塁にランナーが出塁した時には、1塁塁審は牽制球に対する判定を行わなければなりません。
その際は、ランナーなしの時よりも前に出るようなイメージで、牽制球のタッグプレイが見える位置取りを意識してみてください。

各塁審の基本的な立ち位置:2塁塁審①

2塁塁審の立ち位置はランナーによって大きく以下の2つに分けられます。

<ランナーなし、ランナー3塁の場合>

→1・2塁の延長線上あるいは2・3塁の延長線上の外野に立つ

<ランナー1塁、1・2塁、1・3塁、満塁>

→内野内のショート側あるいはセカンド側に立つ

2塁でプレイが起こりうる場合は、内野内に位置するというイメージになります。
満塁の場合は基本的に内野内に位置しますが、内野手が前進守備をした場合は邪魔になったり、窮屈になったりするため、外野に位置することもあります。

外野での立ち位置は、例えば右バッターか左バッターかによって変えたり、外野手の守備位置なども見ながら邪魔にならないように使い分けたりする場合もあります。
フォーメーションを考慮して、アウトカウントとランナーの位置で立ち位置を変える場合もあります。

内野内ではセカンド側に立つ審判員が多いですが、ショート側でも問題ありません。
ショート側はベース正面でのプレイは見やすいですが、送球がそれた場合には死角になってしまう場合があるかもしれません。

特に学童野球などでは多いプレイですが、例えば1・2塁の線上でランナーと野手が塁審から見て縦方向に重なってしまい、タッチしたかどうかが明確にわからないケース(タッチしたように見えるが、実は空タッチだった…など)が出てくることも考えられます。

実際に立ってみて、それぞれのメリット・デメリットを考えながら、自分に合った立ち位置を見つけてみてください。

各塁審の基本的な立ち位置:2塁塁審②

セカンド側、ショート側それぞれの立ち位置の目安については、以下の通りです。

<セカンド側>

  • 2塁ベースから1塁方向に5m程度の距離
  • 1・2塁のラインよりも1m~1.5m程度前に立つ

<ショート側>

  • 2塁ベースから3塁方向に5m程度の距離
  • 2・3塁のラインよりも1m~1.5m程度前に立つ

横に5m、縦に1mというイメージになります。
5mの距離は、セカンド側に立つ場合は3塁コーチスボックスのホーム側のライン、ショート側に立つ場合は1塁コーチスボックスのホーム側のラインの延長線上に自分の体が来るようにすると分かりやすいです。

また、1m~1.5m程度前に立つときに、「ランナーとぶつかりそう」という不安から前に出すぎる場合があります。
そうすると、キャッチャーの送球線上に近づくことになってしまい、かえって邪魔になってしまうことがあります。

↑1塁ベースと2塁ベースの置き方を見てみてください。
実は、2塁ベースは1・3塁ベースとは異なって、センター側に少し出た状態で置かれています。
つまり、1塁から2塁へ向かうランナーは、気持ち少しだけ外側に向かって走っていることになります。

ぶつかる・ぶつからないが変わるほどの差ではありませんが、これを意識として持っておくと、前に出すぎる不安を抑えることにつながると思います。
あくまでも1m~1.5m程度前ということを意識して、前に出すぎないように心がけてみてください。

内野内に位置すると、はじめは「狭いなぁ…」「窮屈だなぁ…」という感覚を持つ方も多いと思います。何となく邪魔になっているような気がして、内野内でしゃがんでしまうケースも見られます。

しゃがむことによって、内野手の視界を妨げる不安はなくなるかもしれません。
しかし、自分に向かって打球が飛んできたときにとっさに避けることが難しい体制になってしまうため、リスクは大きいです。1・3塁塁審と同じように、ハンズ・オン・ニーセットで構えるようにしましょう。

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野球審判のやり方(実践編①):各塁審の判定

審判員の判定において大切なことは「距離」と「角度」。特に「角度」を意識して、いい位置取りでプレイを見ることが正確な判定や説得力のある判定につながります。
また、判定を行う際は、必ず「止まって」見ることが大切です。

審判員の基本は「Go」「Stop」「Call」と言われ、正しく判定するために移動(Go)した後は、必ず静止(Stop)してプレイを見て、アウト/セーフなどの判定(Call)を行うようにすることが大切と言われています。

動きながらプレイを見ると、揺れた状態でのプレイが目に入ってくることになります。
これでは正しい判定ができないため、必ず静止して安定した状態・姿勢でプレイを見ることが大切です。

判定の際のコールについては、アウトの場合は「He’s out.(ヒィーズアウト)」、セーフの場合は「Safe(セイフ)※セーフよりもセイフと発生するイメージ」とコールします。

また、フェアの場合は声を出さずに、指でフェア地域側の横に腕を伸ばしながらポイントをするのみです。
ファウルの場合は「Foul ball(ファウルボール)」とコールします。フェアとファウルは似たようなコールであるため、混乱しないようにフェアはノーボイスとなっています。

なお、判定に際しては、迷わずにジャッジすることが大切です。
アウト→セーフ、フェア→ファウルといったように一度ジャッジしたものを出しなおすと選手は混乱してしまいます。
特にファウル→フェアと判定しなおした場合などは、ファウル=ボールデッドとなって一度プレイがストップしてから、再び選手たちが動き出さなければならない状況を作ってしまうことになります。
こうしたものを防ぐためには、一度決めた判定をしっかりと貫くことが重要です。

1塁塁審の判定①:サード・ショート方向の打球

1塁塁審の判定は、1塁上でのフォースプレイが最も多くなりますが、この時も「角度」を意識することが大切です。

サードやショートから送球が来る場合には、送球に対して90度の角度をとって判定を行うようにします。これによって、ファーストの足が離れたかどうか、落球したかどうかをしっかり見ることができます。

距離については、ベースから半径5~6mの円をイメージした位置取りを心がけてみてください。フォースプレイ(タイミングだけを見る場合)は離れれば離れるほど分かりやすいかもしれませんが、悪送球となってタッグプレイが発生するケースも考えられます。

その場合にはある程度近づかないと判定が難しいです。両者のバランスを取ってうまく判定できるように、上記の「角度」「距離」を意識するようにしましょう。

1塁塁審の判定①:セカンド方向の打球

セカンドやファースト側の打球については、90度の角度を取ろうとするとファーストの足が見えなくなってしまいます。そのため、基本的にはフェア地域方向へ1~2歩程度出たところで判定を行います。

ただし、セカンドゴロやライトゴロなど、打球によっては自分の背後から送球が来るようなイメージ、あるいは角度が狭くなって窮屈になってしまうことがあります。その場合はファウル地域方向へ1~2歩出たところで判定を行います。

また、学童や少年野球ではライトゴロの判定も多くあります。この場合は先ほどよりもさらに1歩程度ファウル地域へ出て判定を行うようにしましょう。この際、走ってきたバッターランナーとぶつからないように気をつけてください。

フォースプレイを見る場合には、以下の3点を意識して判定を行います。

  1. ファーストの足がベースについているか
  2. ランナーがいつベースを踏んだか
  3. ファーストがしっかりと捕球しているか

フォースプレイ=どちらが早かったか、そのタイミングを見るというイメージも強いですが、それだけではなくファーストの足や捕球についてもしっかり確認しなければなりません。

タイミングがアウトだったとしても、ファーストの足がベースから離れていたり、ファーストが落球していたりする場合もあります。
こうしたものをしっかり確認するため、アウトは慌てずに一呼吸おいてから判定を行うようにしましょう。

2塁塁審の判定①:送球線を意識

2塁塁審は盗塁における2塁ベース上のタッグプレイの判定、ダブルプレイなどにおけるフォースプレイの判定が多くなります。フライやライナー捕球に伴うアピールプレイの判定もあります。
こうした判定においては、1塁塁審と同様に「角度」と「距離」を意識することが大切です。

また、2塁塁審は気づかないうちに野手の送球線上に入ってしまっていることがあります。
例えば、6→4→3のダブルプレイだと思っていたのに、ショートが2塁でのアウトをあきらめて1塁へ転送した場合。

2塁ベース上でプレイが起こることだけを考えていると、ショートとファーストの送球線上に2塁塁審が立ってしまっていることがあります。
そのため、ダブルプレイ以外のケースも想定しながら、どんなケースでも送球線上に立たないようにすることがポイントです。

内野内に位置する場合、はじめから送球線上に立たないように意識することは難しいかもしれません。
例えばレフトからファーストへアピールアウトの送球がなされた場合、センターからバックホームがなされた場合など、「送球線上に立っているかもしれない…」と瞬間的に不安になってしまうことはよくあります。


慣れが必要ではありますが、常に先のプレイを何パターンか予測しながら動くように心がけてみてください。

2塁塁審の判定①:盗塁の判定

また、先ほどご紹介したように、盗塁が起こりうる場合は内野内に位置しています。
1塁ランナーの動きは、ホーム方向を見ていても視界に入ってきますが、その動きだけでは盗塁かどうかは分かりません。盗塁のような動きと見せかけて、帰塁する場合もあります。
あるいはヒットエンドランという可能性もあります。

「盗塁が来た!」と決めつけて、すぐさま2塁の方向へ反転して目を移すと、ボールから目を離すことになってしまいます。
ヒットエンドランだった場合などに打球の行方が分からなくなると、判定にも支障が出る可能性があるかもしれません。

盗塁の判定については、あくまでもキャッチャーが送球してから動くということを心がけましょう。
セカンド側に立つ場合は、右足を2塁ベースの方向へ踏み出して、まずは送球されたボールを目で追いかけます。

その後、ボールが自分の前を通り過ぎるタイミングで、踏み出した足を軸としてクルっと2塁ベースのほうへ反転しハンズ・オン・ニーセットで構えます。
反転して構えた後は、ボールではなくベースを見るようにしましょう。そうしないと、プレイの判定の全体像が見えなくなってしまいます。

「盗塁が来た!」と分かった場合にも、すぐに2塁方向へ目を移すのではなく、まずはボールを目で追いかけるようなイメージで送球を自分の近くまで引きつけること、それから、2塁方向へ目を移ることを意識してみてください。

3塁塁審の判定

3塁塁審は、盗塁や送りバントにおける3塁ベース上のタッグプレイの判定や、内野・外野からの送球に対するフォースプレイ、アピールプレイの判定が多くなります。
3塁塁審も、1塁や2塁の塁審と同様に「角度」と「距離」を意識して判定することが大切です。

3塁の盗塁については、2塁よりも送球の距離が短いため、1歩目をより早く踏み出すことを意識して、スピーディーに判定するための「角度」「距離」をとることが大切です。
基本的な立ち位置から、距離によって2ステップあるいは3ステップ内野側へ踏み出して、3塁ベース上におけるタッグプレイを判定(赤③)します。

また、例えばランナーが1・2塁で送りバントの場合には、3塁でのフォースプレイということも想定されます。
サードの足や捕球をしっかり見るために、こうしたフォースプレイについてはホーム寄りのファウル地域まで移動(緑③)すると判定しやすいです。
ただし、移動の距離を考えた場合には、プレイを予測していち早く動き出すことが重要となります。

なお、3塁塁審はタッグアップ(タッチアップ)が適切に行われたかどうかを確認しなければならないこともあります。
もちろん、タッグアップが行われる塁やフォーメーションによって、ほかの審判員(球審や1・2塁塁審)もタッグアップを見なければならないケースがあります。
ただ、なかでも3塁ランナーのタッグアップが多いこと、得点に絡むケースも多いことなどから、3塁塁審は特に適切な確認方法を意識することが重要といえます。

タッグアップは、野手の捕球と3塁ランナーの離塁を見られるような位置、具体的には両者を一直線上で見られる方向・位置(ライトフライの場合:青③)を心がけてみてください。
外野のどこにフライが上がるかによっても、立ち位置が異なってきます。

さいごに

今回は、野球の塁審のやり方について、基本的な事項を中心にご紹介しました。今回取り上げた内容は、最低限押さえておきたい事項や役に立つと思われる事項から、さらに厳選したものとなります。

今回ご紹介した内容以外にも塁審が担わなければならない役割がたくさんあります。すべてを網羅した内容ではありませんので、基本を押さえた後に応用的な内容にも目を向けていただければと思います。

選手経験のある人は、塁審を任されるとボールを追いかけてしまうことがあります。
審判員はボールを追うのではなく、ボールから逃げることが基本となるため、そうした感覚を含めて慣れていくことは大変だと思います。
実践を通じて、選手とは違った動き・感覚のクセを少しずつ身につけてみてください。

審判のやり方を学ぶ方法はたくさんあると思いますが、そのなかで大切にしてほしいのは「模倣」です。
実際に野球場へ足を運んだ際に、塁審の動きやコール、ジェスチャーなどを見て真似をしていくと、コツがつかめてくると思います。
テレビで野球の試合を見るときに、塁審の動きに注目するだけでも変わってくると思います。

選手と同様に、審判についても失敗から学ぶことがたくさんあります。
何度経験しても100点満点にはならず、何かしらの反省点が出てくるはずです。
はじめから全てを完璧にしようと考えず、少しでも100点に近づけてられるように経験を積んでいくことを意識してみてください。

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