プロ野球、ドーム球場の「天井ルール」徹底比較【ボールが天井を直撃したら!?】

ルール / 用語

豪快なスイング、ドームの天井近くまで大きく上がる打球には、思わず目が釘付けになりますね。
もし、このボールが屋根に触れて落ちてきたら、もしくは挟まったままだったら、どんな試合展開になるのでしょうか。
打球の行方で試合が変わる、打球と天井にまつわるルールを知って、ドームでの試合の醍醐味を味わいましょう。

天井にまつわるルールと歴史

日本のプロ野球の日程やルールを決める機関が、日本野球機構(NPB)です。

NPBは、プロ野球の一般的なプレーについてのルール以外にも、野球の試合を行うためのさまざまなルールを決めています。
そのなかで、試合を行う競技場(球場)ごとに定めた特別規則をグラウンドルールといい、打球が天井に飛んでいってしまった場合のルールも定められています。

現在、プロ野球チームの本拠地球場になっているドーム球場は6か所あります。
1988年に完成した東京ドーム(ビッグエッグ)を皮切りに、90年代はドーム球場が続々と完成しました。
なお、札幌ドームを本拠地球場としてる北海道日本ハムファイターズですが、2枚構造の屋根を持つ新たな球場を2023年に開業予定と発表しています。

<ドーム型球場開業の歴史>

1988年(昭和63年)東京ドーム

1993年(平成5年)福岡ドーム(福岡 PayPayドーム)

1997年(平成9年)大阪ドーム(京セラドーム大阪)、ナゴヤドーム

1999年(平成11年)西武ドーム(メットライフドーム)

2001年(平成13年)札幌ドーム

天井ルールの見どころ

ドーム球場に必ずある天井。この存在は、パワフルなバッティングが醍醐味のプロ野球の試合では、無視できないものになっています。打球によっては、ボールが天井に触れて落下したり、挟まって落ちて来ないことがあり、それに備えてルールも変遷を遂げていっているようです。

一体どんな判定になるのか、さっそく、日本で一番最初にできた東京ドームのルールを例に調べてみました。
ルールは、天井に当たった後のボールのゆくえによって、大きく2つに分けることができます。

天井に当たった場合

プレイングフィールド上の天井であれば、インプレー(試合が進行している状態)。
フェア地域に落ちればフェアで、落ちてきた球を野手に直接捕球されればアウト、フェア地域の外野スタンドに落ちればホームランになります。

地面などに触れた場合は、天井に当たらなかったのと同じ扱いになり、打球の位置によって、フェアかファウルかを判定されます。(屋根のない屋外球場で、打球が鳥に当たった場合と同じですね。)

打球が落ちて来なかった場合

フェア地域で、天井の穴やすき間にボールが挟まった場合、ボールデッド(試合が停止している状態)になります。

ボールが挟まったエリアによって、フェア地域なら打者、走者ともに2個の安全進塁権が与えられ、ファウル地域ならファウルになります。

ちなみに、打球が外野の上から吊り下げられたもの(懸垂物)に当たったり、挟まったりして落ちてこない場合もボールデッドになり、フェア地域だとホームランになります。

球場ごとのユニークなルール

天井の打球にまつわるルールは、東京ドームを例にご紹介したルールで統一されています。
では、形状や構造の異なる6つの球場で異なるルールはあるのでしょうか?各球場の異なる点を調べてみました。なかには、懸賞金が贈られる制度もありました!

東京ドーム

バックスクリーンの横には現在11個の大きな広告看板があり、当たった打球の広告主から、選手に100万円相当のプレゼントが贈られます。

ナゴヤドーム

内野中央にあるスピーカーに当たった場合はインプレーで、挟まった場合はボールデッドで二塁打になります。
一・三塁のダッグアウトとバックネット裏の審判室にルールは掲示されていて、いつでもすぐわかるようになっています。

大阪ドーム(京セラドーム大阪)

フェア地域、ファウル地域に関わらず打球が天井に触れた場合は、東京ドームと同じで、移動式屋根「スーパーリング」の最も外側のリングに入った場合も本塁打になります。
ファウル地域側の天井に当たった場合、ボールがプレイングフィールド側に戻ってきてもファウルになります。
ボールが挟まって落ちてこない場合はボールデッドになり、挟まった場所がフェア地域の場合は二塁打、ファウル地域の場合はファウルボールになります。
また、フェア地域上にある一番外側のスーパーリングに当たった場合、および中堅のフェンス上の天井にある懸垂物に当たった場合はホームランになります。

福岡ドーム(福岡 PayPayドーム)

天井に触れた場合は東京ドームと同じで、天井や懸垂物・鉄柱に挟まった場合は大阪ドーム(京セラドーム大阪)と同じルールです。
2000年8月19日のホークス対マリーンズ戦で、ホークスのエベニス選手の打球がファウルフライとなったが、天井を直撃しフェア地域へ落下したためタイムリーとなりました。
そのまま天井に留まり認定2塁打になれば選手には賞金500万円が贈られる話を聞かされ悔しい思いをした、というエピソードが残っているそうです。

メットライフドーム

打球が天井に触れた場合は東京ドームと同じ。ただし外野フェア地域の天井に当たった場合はホームランになります。天井や懸垂物・鉄柱に挟まった場合は、大阪ドームと同じルールです。

札幌ドーム

外野部分の天井(フェア地域の天井パネルの奥から3枚目まで)に触れた場合はホームランになります。それ以外は、東京ドームと同じルールです。

さいごに

いかがでしたか?
統一されたプレーのルール以外に、球場の形によって特色のあるルールが決まっています。
本拠地球場がドームの方がルールを知っておくのはもちろん、ビジター試合の球場がドームだったときも、この違いを知っておけばさらに試合を楽しく、熱く応援できるはず。

ぜひ、天井に向かって大きく伸びる打球の行方を目で追いながら、試合展開を占ってみましょう!

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