プロ野球の日本シリーズに関するルールを解説します!【延長戦・DH・審判員についても解説】

ルール / 用語

日本シリーズの概要やルールをおさらい

プロ野球のシーズン日本一を決める日本シリーズ。クライマックスシリーズと同様、短期決戦ならではの緊張感があり、これまでの歴史に目を向けても数々のドラマが生まれています。
今回は日本シリーズの概要やルールについて、いくつかの項目に分けながら解説していきます。

日本シリーズとは?

日本シリーズは、セ・パ両リーグのクライマックスシリーズを勝ち上がったチーム同士が日本一をかけて行うものです。

レギュラーシーズンで、両リーグの優勝および2位・3位のチームが決定した後、それぞれのリーグでクライマックスシリーズが行われます。

ファーストステージおよびファイナルステージを勝ち進んだチームが、リーグの代表として日本シリーズに出場。例年、10月末~11月初めの期間に試合が行われます。

日本シリーズのルール

試合数と球場

日本シリーズは、どちらかのチームが4勝するまで行われます。6試合を終えて3勝3敗で並んだ場合、その次に1勝を挙げたチームが日本一となりますよね。そのため、最大で第7戦までの日程が組むのが一般的です。ただし、引き分けがあった場合には、どちらかのチームが4勝するまで、つまり第8戦以降も試合が行われます。

試合が行われる球場は、出場するセ・パそれぞれの本拠地が「前半2・後半2の4試合」、「中盤の3試合」のいずれかに振り分けられます。割り振りは、西暦の奇数・偶数によって決められる点も面白いポイントと言えるかもしれません。具体的には、以下のように割り振りが行われます。

西暦が奇数の年
  • パ・リーグの本拠地→第1・2戦、第6・7戦
  • セ・リーグの本拠地→第3~5戦
西暦が偶数の年
  • セ・リーグの本拠地→第1・2戦、第6・7戦
  • パ・リーグの本拠地→第3~5戦

2019年の日本シリーズは、読売ジャイアンツと福岡ソフトバンクホークスが日本一を争い、ソフトバンクの4連勝という結果で幕を閉じています。

2019年は奇数年であるため、ソフトバンクの本拠地である「福岡 ヤフオク!ドーム」で第1・2戦、1日の移動日を挟んで、ジャイアンツの本拠地である「東京ドーム」で第3・4戦が行われました。

2020年は偶数年となるため、セ・リーグの本拠地(あるいは代替球場)から日本シリーズがスタートする予定です。

第8戦以降と順延時の会場

引き分けの試合があり、第7戦終了時点で日本一が決定しないケースも考えられます。
その場合は、翌日に第7戦と同じ会場で第8戦を行うことになっています。第8戦でも決着がつかなかった場合は、1日の移動日を挟み、もう一方のチームの本拠地で第9戦以降を行います。

また、各チームの本拠地がドーム球場でない場合、雨などにより試合が中止となってしまうことも考えられます。こうしたケースでは、雨天中止となった球場で順延となります。
2006年までは移動日についてもスライドする形でしたが、2007年以降は、移動日の扱いが以下のように変更されています。

第1・2戦で中止となった場合

雨天中止となった球場で順延→その後1日の移動日を挟んで第3戦を行い、第5戦および第6戦の間にある移動日はカット。

第3戦以降で中止となった場合

雨天中止となった球場で順延→第5戦および第6戦の間にある移動日はカット。
※ただし、当日中の移動が難しい場合(本拠地間の距離、交通アクセスの問題など)には、移動日が設けられます。

サスペンデッド・ゲームの扱い

日本シリーズでは、“サスペンデッド・ゲームは採用しない”と規定されています。
サスペンデッド・ゲームとは「一時停止試合」「一時預かり試合」とも表現され、何らかの理由によって試合を続けることが不可能であると判断された場合に、試合を一時停止→後日、中断前の時点から再開するというものです。

プロ野球ではパ・リーグのみサスペンデッド・ゲームが採用されていましたが、後にこれは廃止されています。
すなわち、NPBではもともとサスペンデッド・ゲームが適用されることはありません。

ちなみに、試合を続けることができない代表的なケースとしては、照明設備のない球場での日没などが挙げられます。
そもそもの話になってしまいますが、各チームの本拠地には照明設備が完備されているため、クライマックスシリーズや日本シリーズなど、各チームの本拠地のみで試合が行われる場合、そのようなケースが起こることはありません。
ただし、レギュラーシーズンでは、照明設備のない地方球場で試合が行われることもあります。2019年8月28日に行われた日本ハム-西武戦での日没コールドは記憶に新しいかもしれません。

試合が行われた釧路市民球場は照明設備がなく、加えて当日が曇天だったため、日没時間よりも早い段階で周囲が暗くなってしまったんですよね。
前述の通り、NPBではサスペンデッド・ゲームが適用されることはないため、審判団で協議の上、8回コールドという形になりました。

日本シリーズの延長に関するルール

日本シリーズの第1~7戦までは、12回までの時間無制限で延長戦が行われます。12回を終了しても決着がつかない場合は同点による引き分けとなります。
ただし、第8戦以降については回数や時間に制限がなく、決着がつくまで試合を行うことになっています。

現行ルールの背景には、史上初の第8戦が行われた1986年の日本シリーズ(西武‐広島)が大きく関わっています。
同年の日本シリーズは、第1戦が延長14回の時間切れ引き分けとなっているんですよね。
1982年以降、この年までは「プレイボールから4時間半を経過した時点で、新たなイニングに入らない」というルールがありました。
14回の途中で4時間半を経過したため、15回以降は行われずに引き分けという扱いになっています。

この試合を受け、1987年以降は延長18回まで+第8戦以降は回数制限なしという規定に変更されました。
1994年以降は延長15回までに短縮され(1994年に限り、デーゲームは延長18回のまま)、2018年以降(現行ルール)は延長12回までに短縮されています。

延長戦のルールについては以下の記事で解説しています。

日本シリーズでDH制はどうなる?

1987年以降、パ・リーグ出場チームの本拠地球場では指名打者(DH)制を採用する規定となっています。
なお2005年からスタートした交流戦も、日本シリーズと同様にパ・リーグの本拠地(本拠地以外のパ・リーグ主催試合)でDH制が採用されています。

交流戦が行われるようになってからは、パ・リーグのピッチャーが打席に立ったり、DHとして出場している選手が守備についたりする光景は、以前よりも見かける機会は多くなりました。
DH制の有無による戦略の立て方が勝敗に影響するケースもあるため、特に日本シリーズという大舞台では、より重要な意味を持つルールの一つと言えるかもしれません。

日本シリーズの審判員

プロ野球における1軍の試合では、球審と3人の塁審による4人制が基本となっていますが、日本シリーズやクライマックスシリーズ、オールスターゲームなどでは6人制によって試合が進められます。
日本シリーズはNPB審判員のなかから8人(出場6人+控え2人のローテーション)が選ばれていましたが、2015年以降は7人(出場6人+控え1人のローテーション)での運営に変わっています。

もともと、審判員もセ・パそれぞれのリーグに分かれていたため、出場審判員6名がセ:3人、パ:3人と平等になるように、4名ずつ計8名が選ばれていました。
しかし、2011年に審判部が統合したことなどもあり、後に7名へ減らされる形となったようです。

現在、日本シリーズの審判団のローテーションは以下の通り(第1戦で球審を務めた場合)となっています。

球審→控え→レフト外審→2塁→1塁→ライト外審→3塁

8名の審判が選ばれていた時代は、第7戦まで行われたとしても球審を担当しない審判員がいました。
そのため、前述の第8戦が行われた1986年の日本シリーズでは、選ばれた審判全員が球審を務めるという異例の形となっています。
現在は7名となっているため、仮に第8戦以降が行われる場合には、初戦で球審を担当した審判員が2度の球審を務める形となります。

2020年の日本シリーズはどうなる?

日本シリーズの予定(※2020年8月上旬現在)

2020年の日本シリーズは、11月21日(土)に開幕する予定となっています。

開幕がずれ込んだ影響もあり、クライマックスシリーズについてはセ・リーグ→未実施、パ・リーグ→ファイナルステージのみの開催が決定しています。
セ・リーグは屋外の球場を本拠地としているチームが多く、雨天中止の可能性もあることから、まずはレギュラーシーズン日程の消化を優先としているようです。

なお、例年よりも2週間ほど日程がずれ込むため、都市対抗野球や明治神宮大会、アーティストのコンサートなどと重なり、本拠地が使用できない球団も出てくる可能性があります。
その場合は本拠地に近いエリアの代替球場で試合が行われる予定です。

過去の日本シリーズで起きたケース

過去のレギュラーシーズンにおいては、震災の影響による電力事情や球場損壊により、ホームとビジターを入れ替えたり、もう一方のチームの本拠地を代替球場としたりすることによって試合が行われたケースはありました。

日本シリーズでは、「ON対決」が話題となった2000年の読売ジャイアンツ‐福岡ダイエーホークスで、変則日程によりシリーズが行われたことがあります。
福岡ドームで行われる予定だった第3戦~第5戦が日本脳神経外科学会と重なってしまい、3連戦(東京D・東京D・福岡D)→2日の休み→4連戦(福岡D・福岡D・東京D・東京D)という日程になったんですよね。

まだまだ落ち着かない状況が続いているため、2020年は日本シリーズも含め、日程や開催について随時変更されていく可能性もあります。
レギュラーシーズンは延長戦が10回打ち切りとなっていること(日本シリーズは現時点で12回のまま)などを考えても、今回ご紹介した日本シリーズのルールが、この先変更となる可能性もあるかもしれません。

まずは、2020年のレギュラーシーズンを無事に終えられるよう、そして少しずつでも元の状態に戻ることを願うしかありません。

さいごに

今回は、プロ野球日本シリーズの概要やルールなどを中心にご紹介しました。交流戦が行われるようになったこともあり、両リーグの対戦を目にする機会は以前よりも多くなりました。

ただ、日本シリーズには、交流戦とはまた違った雰囲気があって魅力的なんですよね。
数々のドラマが生まれている日本シリーズだけあって、緊迫したゲームのなかでは「これってどうなるの?」というルールが出てくるかもしれません。

延長などのルールも含め、この記事が皆様の参考になれば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました