野球のユニフォームは年々進化しています。
デザインだけではなく、素材や機能性など毎年プレイヤーにとって動きやすい、野球がしやすいユニフォームが開発されているのです。
大昔、野球が始まった頃のユニフォームは、ウールズボンにフランネルシャツ、そして麦わら帽子という恰好だったのはあまり知られていません。
野球ユニフォームの歴史を紹介します。
最初のユニフォームはニッカボッカだった?
野球が生まれたころ、ユニフォームという概念はありませんでした。
現代野球生誕の地アメリカでは、野球自体は1791年にはすでに行われていました。
以降最初のユニフォームが誕生する1849年までの60年間は、自分たちが動きやすい「私服」でプレイされていたのです。
初めてチームメンバー全員が同じような服をまとうようになったのは、1849年の消防団からメンバーを募ったチーム「ニューヨーク・ニッカボッカーズ」です。
ニッカボッカと聞くと、大工さんや土木工事作業員さんらが履いているダボっとしたズボンを連想しますが、実際にニッカボッカーズが着用したのは「青いウールズボン」でした。
現代では防寒具などに使われているウールのズボンをはいて野球を行っていたのです。
今の感覚だと、とても暑かったのではないでしょうか。
「靴下+色」がチーム名になった
野球ユニフォームの特徴として挙げられるのが、膝丈のパンツに厚手の靴下を履き、その上に足の甲部分から脛部分にかけて穴があけられている靴下(ストッキング)のスタイルです。
もともとは厚手の靴下1枚でプレイしていました。
野球において靴下は重要です。
厚手であるという点はもちろんですが、重要な理由は「色」です。
靴下の色を同じチームのメンバーが着用することで、相手チームとの区別(お客さんに対して)を行っていました。
また、靴下(ストッキング)を使い始めたチームは「レッドストッキングス」というように、ストッキングの色が現代のチーム名になっているところも多いです。
現代でも、ボストン・レッドソックスやシカゴ・ホワイトソックスなどストッキング+色のチームがありますね。
ストッキング+色がチーム名になっているところは、チーム創設から長い歴史を持っているケースが多いです。
事実、レッドソックスとホワイトソックスは1901年が創設年です。
119年間、同じ名前、同じ色の靴下だったということですね。
ユニフォームのスタイルの歴史
過去のスタイル
ユニフォームが一般化してから、様々な工夫がされてきました。
野球帽と呼ばれる現代のキャップも、昔は麦わら帽子やカンカン帽、乗馬用のヘルメットやキャスケットなどいろいろなタイプの帽子が使われていました。
現代のキャップになったのは、20世紀の初頭といわれています。
シャツは、普通のサラリーマンが着ているようなシャツを厚手にしたフランネルシャツが使われていました。
中にはネクタイを着用した時期もあったそうです。
パンツは、当初はニッカボッカーズが着用していたウールのズボンが主流でした。
また、パンツは最も変化したユニフォームのパーツであり、 機能性や動きやすさ、ファッション性などによって色々なタイプが作られました。
現代のスタイル
現代では、膝丈タイプとくるぶしまでの2タイプが主流です。
膝丈タイプは、現シアトルマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏が好んで使用していました。
昔からあるタイプのユニフォームで「クラシックスタイル」ともいわれています。
少年野球や中学野球、高校野球は基本的にクラシックスタイルのユニフォームを使用していますね。
くるぶしタイプは、スパイクを覆い隠すように裾が広がっているのが特徴です。
メジャーリーガーが主に使っていますが、最近では日本のプロ野球選手も使用しています。
このタイプを「プロフレア」と呼んでいます。
ユニフォームもコレクションのひとつ
野球のユニフォームの歴史は、そのまま野球の歴史といっても過言ではありません。
最近では球団のユニフォームをコレクションする人も増えています。
しかし、近年のユニフォームは球団の収入源にもなっており、期間限定着用ユニフォームや記念試合用ユニフォームなど、入手が困難になっていることも事実です。
サッカーやバスケットなどは、シーズンを通してホーム用とビジター用(アウェイ用)などで3種類~4種類しかありませんが、野球は1シーズンで10パターン以上のユニフォームを着ることも少なくありません。
まさにコレクター泣かせなのが野球のユニフォームなのです。
さいごに
今後、野球の進化やプレイの進化により、更にユニフォームは変わっていくでしょう。
自分の好きなチームのユニフォームをコレクションするのも良いですし、新しいユニフォームが発売されたら欠かさずコレクションしても良いですよね。
野球のユニフォームに歴史あり。
野球博物館やアメリカの野球の殿堂博物館などには、大昔の実在のユニフォームが展示されているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。